農業経営については、農地の所有と経営が不可分の関係にあることから、農業後継者が農地等を生前一括贈与により取得した場合については「贈与税納税猶予」の特例制度が、また、農地等を相続又は遺贈により取得した場合には「相続税納税猶予」の制度が設けられています。これは、納税猶予を受けることにより、税負担を軽減し、農業経営の継続を図り、さらに農業経営の若返りや農地の零細化の防止を図ることを目的とした制度です。
相続税の納税猶予
相続人が農業を営んでいた被相続人から農地等を相続して、農業を継続する場合に、次の相続か、農業後継者に対する生前贈与が有るまでの間、相続税の納税が猶予される制度です。また、相続税の申告期限から原則として20年を経過するまで農業用地として使用した場合には、猶予された税額が免除されます。
【具体的には次の要件が必要です】
1.被相続人(亡くなられた方)の要件
死亡の日まで農業を営んでいた人
2.相続人の要件
相続した農地で、引き続き農業経営を行う人
3.対象となる農地
相続人が死亡の日まで、自ら農業の用地に供していた農地
4.申告に当たっての要件
被相続人の死亡の日から10ヶ月以内に税務署に相続税の申告を行うこと
【農業委員会の証明について】
納税猶予制度の適用を受けようとする人は、相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに被相続人の住所地の税務署に申告をすることになっています。申告するに当たっては、農業委員会の発行する「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」を添付しなければなりませんが、発行までに日数が係る場合がありますので早めに申請をするようにして下さい。
贈与税の納税猶予
農業を営んでいた人が、生前にその推定相続人の一人に農地等を一括贈与した場合にその贈与税の納税について、贈与者の死亡等のときまで猶予する制度です。相続税の納税猶予と同じ目的の制度ですが、要件など相違する部分もあります。
なお、農地を贈与する際には、農地法第3条の許可を受ける必要があります。