毎年11月23日に天皇陛下が新穀を神々に供え、ご自身も食される、収穫と感謝の御祭り『新嘗祭』。この御祭りに供する米と粟を全国の都道府県の農家が奉献する事業が献穀事業です。熊本県では、各地域振興局管内を持ち回りで実施しています。133回目を迎える令和7年度、菊池地域2市2町(菊池市、合志市、大津町、菊陽町)とJA菊池が協議会を作り、合志市の農家が栽培者となって献穀を実施します。合志市での実施は65年ぶりです(当時は旧合志町)。
10月4日、育った稲を収穫する『抜穂祭(ぬいぼさい)』が、献穀田で開かれました。
6月の御田植祭に続き、協議会の関係者や献穀者の嶋田さん夫妻、田男・早乙女の衣装を身にまとった地元のこどもたちが参加しました。
こどもたちは、黄金色に実った稲穂を鎌で丁寧に刈り取り、大役を果たしました。
菊池地域献穀事業推進協議会の会長を務める荒木市長は、「6月に植え付けた早苗がすくすくと成長し、収穫できたことに安堵しています。献穀者の嶋田さんご夫妻や地域の皆様には、記録的な猛暑や局地的な豪雨、病害虫の発生など、生育管理に気苦労が多かったと思います。深く感謝を申し上げます」と挨拶しました。
また、献穀者の嶋田昭一さんは、「地域の方々に見守られ、熊本の代表として献上できる立派な米ができたと思っています」と挨拶し、安堵の表情を浮かべていました。
献穀事業は、今後、収穫した精米と粟を地域の神社に奉納し、恵みに感謝し報告する『奉告祭』が行なわれます。
6月21日、田んぼに苗を植える『御田植祭(おたうえさい)』が、献穀田で開かれました。
御田植の儀には、協議会の関係者や献穀者の嶋田さん夫妻、田男・早乙女の衣装を身にまとった地元のこどもたちが参加しました。
水を張った献穀田に入り、丁寧に苗を植え付けたこどもたち。手植えの後は、神前に玉串を納めて豊作を祈り、無事に大役を務めました。
献穀事業は、今後、育った稲を収穫する『抜穂祭(ぬいぼさい)』などを予定しています。
5月27日に行なわれたのが、献穀田を清める『清祓祭(きよはらいさい)』と、稲の種を苗床にまく『播種祭(はしゅさい)』です。『清祓祭』では、神職が田を清めた後、献穀者の嶋田昭一さんがくわ入れをしました。
『播種祭』では、嶋田さん夫妻と、菊池地域献穀事業推進協議会の荒木義行会長(合志市長)、東哲哉副会長(JA菊池代表理事組合長)が、苗床に種を満遍なくまきました。その後、直会が開かれ、県や関係市町、地元土地改良区や区などの関係者が、秋には実り豊かに収穫できるよう願いました。
当日は報道機関も取材に訪れました。インタビューに応じた嶋田さんは、「私にとって、今年は就農から50年という節目の年です。代々受け継いできた田んぼで良い米を作り、無事に秋の収穫を迎えたいと思います」と話しました。